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アメリカから見た日本の医療(おにゃお)
医療制度比較論のクラスで、
今週と来週、日本の医療制度が取り上げられている。 日本の医療制度がどのように映っているのか、という観点から、 米国人学生の反応を見るのが面白い。 昨日は、ドキュメンタリー番組を通じて、日本の医療制度が紹介された。 かかりつけ医(開業医)にも、専門医(病院)にも、予約なしでアクセスでき、 さらに、医療費負担は米国の半分というのは、米国人には夢のようであるらしい。 番組は、レポーターが、明治神宮に絵馬を奉納するシーンで終わる。 その絵馬には「米国でも皆保険が実現しますように」と書かれてあり、 クラスの爆笑を誘った。 その笑いの蔭には、米国の医療制度に対する、鬱屈した不満があるように感じられた。 MD/MBA(医学部とビジネススクールの二重専攻生)の同級生の大半は、 「医者になっても学費が払えないから」という理由で、医学の道を進まず、 バイオベンチャーや製薬会社、医療機器会社を目指している。 薬剤費、機材費、開発費の高騰は、さらなる医療費の高騰を招き、 医療サービス業への分配が減るという悪循環が生まれていることに、 学生は気がついているのだが、進路の選択上、どうしようもできない。 日本の医療制度は、米国から羨望のまなざしで見られているということは、 あまり日本国内では知られていないように思う。 ヒラリー・クリントン上院議員は、日本の病院を視察し、 医療関係者の献身的な働き振りを見学して、「まるで聖職者のよう」と評した。 しかし、日本では、過労と医療不信に耐えかねた医師が辞職する 「立ち去り型サボタージュ」が足元で急増し、 「医療崩壊」が静かに進行している。 地方の病院や、特定の科(内科、小児科、産婦人科など)は、悲惨な状況にある。 日本が世界に誇る国民皆保険制度の裏に、 疲弊した医療現場があることが、十分に伝わっていないことに、不安を感じる。 昨日、教鞭を執ったArnold Rosoff教授は、医療訴訟の専門家でもある。 講義終了後、日本での医療崩壊について説明すると、 福島県立大野病院事件について、注意深く耳を傾けてくれた。 医療不信を取り払うには、医療現場の努力(インフォームド・コンセントなど)のみならず、 司法府の協力と、国民の理解が不可欠であるということに、 強く同意してくれた。 来週は、慶應義塾大学の池上直己教授が、昨年に引き続き、来訪される予定である。 学生一同、首を長くしてお待ちしている。
by whartonjapan09
| 2008-11-26 15:27
| おにゃお
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