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Wharton MBA (Class of 2009) 有志による「刺激」を共有する場
by whartonjapan09


HERMESの経営戦略 (Yak)

Whartonのファッション産業クラブの仲間とともに
米国HERMESの本社を訪問し、CEOから経営戦略を伺う機会がありました。


オフィスを行き来するオレンジの箱に目を奪われたのも確かですが、
まじめな話、株主からも顧客からも値下げ圧力は一切ないと言い切る、
価格競争と無縁の経営はとてもクリエイティブで興味深かったです。


彼らの経営の基本はシャネルやヴィトンといった高級(luxury)ブランドと比べて
最高峰(absolute)の位置づけを確保すること。
1点ものやカスタムメイドに注力して常に最高の顧客をつなぎとめながら、
低価格の小物を提供して新たな若い顧客を獲得し、徐々に教育している。


ホームページでの通販については、
原則としてショップでのブランド体験を通じた販売が基本だが、
スカーフなどの基本商品を限定的に販売して市場を開拓するとともに、
地域別売り上げをもとに市場の成熟度を判断して出店計画を立てている。


メンズ・ラインに本腰を入れるためウォール街に旗艦店をオープンしたところ、
他のハイエンド・ブランドが続々と追随して地価は高騰し、
NYファッション業界の新たなトレンドになっているそうです。


その次に訪問したティファニー本社では、
日本市場への特殊なアプローチを興味深く聞きました。


先進国では経済の成熟に伴って
中流層が高級ブランドを志向するようになり(プチ贅沢)、
結果として中間マス市場を狙っていたブランドはことごとく業績を落とし、
高級ブランドと超低価格商品だけが生き残る、というブランド論があります。


ソニーが不振の中間ブランドに分類されているのが気に入りませんが、
一億総中流の日本で高級ブランドが特に好調なことの説明がつく理論です。
by whartonjapan09 | 2007-12-03 15:59 | Yak
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