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ルノワールとキャリア(おにゃお)
テスト期間が月曜日で終わり、
念願叶って、火曜日はフィラデルフィア美術館に出掛けました。 お目当ては、ルノワールの風景画展。 ルノワールといえば、人物像のイメージが強いですが、 今回は風景画に焦点を当てた展覧会です。 驚いたことに、ルノワールの初期の作品は、ピサロそっくりでした。 新たな画法を実験し、途中で投げ出したように見られる作品もあります。 それでも、野外で何度もスケッチを繰り返すうちに、 光が溶けてこぼれ出すような、独特の画風を確立していった様子が伝わってきました。 ルノワールが晩年を過ごしたカーニュ・シュル・メールでは、 隅々まで光が満ち溢れて、明るい色調に彩られていました。 しかし、彼が30歳代に描いた海の風景は、 紫と緑色に塗り込められ、暗い雨雲に覆われていました。 点のように浮かぶ船は、近づく嵐の前兆に、為す術がないように見えます。 私は、この絵の前に、しばらく釘付けになってしまいました。 ルノワールは、どんな思いで、ブルターニュの暗い海を描いたのだろう。どんな不安の影が、彼の胸をよぎったのだろう。それを、どのように乗り越えたのだろう。その後、どんな軌跡を辿って、独自の画風を編み出し、新たな境地を切り拓いたのだろう。 ところで、サブ・プライム問題に端を発する金融市場の混乱から、 知人が解雇されたとのニュースを、ちらほらと聞く、この頃。 ルノワールのように、とは言わないまでも、 失敗や挫折を乗り越えながら、 自分のカラーを作り上げていくには、 どんなキャリアを積むべきなのだろう。 大きな宿題をもらった気持ちで、美術館を後にしました。
by whartonjapan09
| 2007-10-27 13:33
| おにゃお
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