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Wharton MBA (Class of 2009) 有志による「刺激」を共有する場
by whartonjapan09


トヨタ生産方式とヘルスケア(おにゃお)

今週のヘルスケアの講義では、病院におけるトヨタ生産方式の導入ケースが扱われた。病院でカイゼン?と疑問を持たれる方もいると思う。シアトルの名門Virginia Mason病院の幹部も、トヨタの工場を視察するまでは懐疑的であった。しかし、彼らは視察後、ある結論に辿り着く。「自動車製造も、ヘルスケアと同じくらい複雑である」

Virginia Mason病院では、既にTotal Quality Managementが試みられたことがあったものの、現場からのボトムアップが不十分で、効果を上げられないでいた。創立100年来初の赤字を計上し、経営陣に対する不信感が蔓延していた。

幹部は、「経営効率化によって余剰人員が出ても解雇しない」とのコミットメントを行った上で、トヨタ方式の導入に踏み切る。プロセスの明確化、職場の整理整頓、動線の短縮、ポカヨケを応用した医療事故の予防、そして全職員によるカイゼン、自働化が試みられた。

当然、職員の反発もあった。「私たちが扱っているのは車ではなく、患者だ」しかし、経営陣も職員もめげなかった。Virginia Mason病院は2年間で、医薬品在庫の半減、リードタイムの53%カット(708日分)、1500万ドルの予算削減に成功した。

驚いたことに、元病院コンサルタントの同級生が、トヨタ方式を導入した病院を、他に何例も知っていた。日本の製造業の経営手法を、米国のヘルスケアに応用する発想の柔軟性に、はっとさせられた。でも、一番驚いたのは彼女の一言。「経営陣と職員の一体感がない病院だと、うまくいかないのよ」大野耐一氏が御存命であれば、彼女の一言を、どのように思われたであろうか。
by whartonjapan09 | 2007-10-15 14:05 | おにゃお
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