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Wharton MBA (Class of 2009) 有志による「刺激」を共有する場
by whartonjapan09


金融危機とウォートン生(おにゃお)

9月14日のリーマン・ブラザーズ社の破綻を発端として、
金融市場は一気に危機モードに突入した。

金融業界を目指す学生が多いWhartonにも、その影響が及んでいる。
一部の金融機関が来年の本採用の内定を留保しており、
投資銀行志望の学生は、他業種での就職活動に狂奔している。

リーマン・ブラザーズ社の元社員だった学生は、
ボーナスとして支払われた自社株を学費支払いに充てるつもりだったのに、
ほぼ無価値となってしまった。
自社株の売却には法務部の許可が必要だったが、
許可が下りたのが、なんと破綻の4日前。
経費節減のために、先週から急に手弁当を持参している姿を見ると、胸が痛む。

Whartonの対応は素早かった。
リーマン・ブラザーズ社破綻の翌々日には、
Siegel教授、F. Allen教授など、ファイナンスの著名教授を集め、
緊急座談会を開催。
必要な対応策、各国の経済・金融市場への影響が議論された。
会場には入りきれないほどの学生が詰めかけ、警備員とひと悶着する場面も見られた。
Bank runを彷彿とする状況を目の当たりにし、学生の不安とストレスを肌で感じたが、
学校の迅速かつ誠実な対応に感謝した。

明日日曜日には、米国議会が不良債権買取プログラム、
TARPを成立させる見通しである。
しかし、金融機関経営者の報酬制限、ワラントの導入、
支払い方式(一括か分割か)など、
細部での調整がまだ不透明な状況だ。

ところで私は、就職活動をすると氷河期に見事に当たる、不思議な年回りらしい。
このままマンモスになっちゃおうかと思うくらいである。

2000年春にJPMorganから内定を頂いた。
しかしその半年後、Chase Manhattan Bankに同行が買収された。
ニュースに触れたのは、滞在先のジュネーブ。
驚きのあまり、市電の中で新聞を落としたのが、昨日のことのように思い出される。
翌年に入行して、社内コンサルティング部で最初に担当したのが、
両行の金利部門の合併後の統合プロジェクトであった。

そのJPMorganが昨日、貯蓄貸付組合Washington Mutualの救済合併を決定した。
JPMorganは、1907年危機の際に、現在の連邦準備制度に代わる役割を果たし、
1929年の大恐慌の際には、自ら打撃を受けながらも、
流動性供給機能を果たそうとした歴史を有する。
今年3月に、ベア・スターンズ社を吸収合併したのに続き、
今回も、金融システムの安定に一役買った格好となった。

ちなみに、あまり知られていないことだが、
日本が関東大震災に見舞われた際、
JPMorganは震災復興公債1億5千万ドル分を引き受け、我が国との縁はとても深い。

元上司が温かいエールを送ってくれた。

「外界は騒がしいですが、どうかそれに惑わされず、
貴重な時間を活用して過去の先達の智恵を学んでください。
将来きっと活きるでしょう。」

その一言の、限りない優しさと重さが、胸に響いた。
by whartonjapan09 | 2008-09-28 12:08 | おにゃお
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