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Wharton MBA (Class of 2009) 有志による「刺激」を共有する場
by whartonjapan09


知識の実用性 (doc)

Business school, medical school, law schoolの3つは、俗に三大professional schoolと呼ばれています。いずれも大学を修了した人に提供される院レベルの教育課程であり、”professional”とあるように、社会で活躍する実務家を養成するところに主眼がある、という点が共通しています(卒業生の給与が高い点でも共通している、なんて揶揄されたりもしますが・・・)。

では、実務家を大学のような教育機関で本当に養成することが出来るのでしょうか?
別の言い方をすると、大学で学んだ事が本当に実務をこなしていく上で助けとなるのでしょうか? 
Whartonに来られている皆さん(そして、business schoolへの進学を考えておられる受験生の皆さん)は、大学時代に学校で学んだ事が、その後の仕事で何らかの形で役に立ったということがありましたでしょうか?

私はmedical school(日本の医学部とこちらのmedical schoolはその立ち位置が若干異なりますが)という、やはり実務家を養成することを目的とした学校を出ているわけですが、その経験を元にお話をしますと、“大学時代に学んだ知識は実務をこなしていく上でもかなり役に立った”、と言えると思います。

ただし、知識を“役に立たせる”ことが出来るようになるまでには、実際に医療現場に飛び込んでから暫くの期間働くことが必要となりました。経験を重ねる中で、 “知識をいかに実践に結びつけるか”という術を段々と学んでいき、そうして初めて、”(一見するとあまり実践に直結しないように思われる)学問的な知識” に根ざした、より深い疾病の理解、病態の評価・判断が出来るようになっていったと思います。
(逆に言えば、医学部を出ても現場での経験が無い人間は、無駄に知識ばかり多いけど全く役には立たないのです。毎年新たに病棟デビューする研修医は、皆決まってこのギャップ(知識はあるけど何にも出来ない)に苦しみます。)

恐らく、business schoolについても似たような事が言えるのではと思います(尤も、学生は既にある程度の現場経験を有しているという点で状況がやや異なりますが)。Schoolで学んだ学問的知識の大半は、卒業後すぐには役に立たないでしょう。でも、それで別にいいのだと思います。

卒業後、企業に就職したらすぐ戦力として認められたいという意識が強い人は、在学中により特殊な分野の最先端の知識が学べる講義を聴いたり、企業との合同プロジェクト等のより実践的な経験が積める機会を得たい、と思うのかもしれません(それ以前に、ネットワーキングだけを目的とした人も多いのかもしれませんが)。

でも、最先端の知識はどうせすぐ陳腐化しますし、卒業したら嫌と言うほど実践の機会を与えられる事になるわけですから、むしろ学生の間はとにかく自分の興味が向いた分野を(実践性はこの際あまり気にせずに)幅広く深く学んでみて、結果として、ビジネスの全体像を俯瞰できるようなより高い視座を身につける事に努めた方が、ずっと後々のためになるのではないかと思います。将来的に組織内における自分の positionが上がり、より裁量権が広がっていった時、そのような “全体を俯瞰する視点”こそが、(部署に関わらず)より深みのある経営判断を下すための大切な拠り所となるのではないでしょうか。

卒業後10年、15年と経った頃に、“あの時Whartonで学んだ事、深く考えた経験が、今になってこんなにも役に立つとは”、と思えるくらいになっているといいですね。
by whartonjapan09 | 2007-09-10 13:07 | doc
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